精度を出すための取り組み


    

山陽精工株式会社では、チタン、スーパーインバーなどの難削材の精密な切削加工の実績を数多く積み重ねてきました。しかし弊社も、最初からすべての材質に対して高い精度要求の加工ができた訳ではありません。数多くの試行錯誤の中で、技術力を向上させて今日に至っています。

製造技術と営業のインタビューから、弊社の精密な切削加工への取組の一部や会社としての姿勢を感じて頂けたらと思います。

インタビューメンバー

製造担当:モノづくり事業 小沢工場 工場長 佐藤

営業担当:MS事業 営業部 湯川

【これまでに加工したことがない素材の加工精度を出すためのポイントは?】

佐藤:これまでに加工したことがある素材の加工実績がベースになるのはもちろんですが、使う道具など全てが変わってくるため、常にチャレンジの精神で挑んでいます。「こうしたらどうか」「これがだめならあれはどうか」と何パターンか考え、試行錯誤の中で精度を上げられるように、今まで培ってきたノウハウをフル回転させています。

【具体的にどういった経験が挑戦に活きていますか?】

佐藤:頂いた図面をただ加工するというではなく、一つ一つの図面とまっすぐに向き合い、お客様と打ち合わせを重ねてきた経験だと思います。そのため、要求される寸法・精度を満たすために、自分達がどのようにすれば精度が出しやすいか、どんな形状であれば要求に近づけられるか、という話をお客様との打ち合わせの段階でしっかりできるようになりました。

綿密な打ち合わせと検討結果の裏付けをもって、お客様に図面の変更をいただくような提案も行っています。これは加工工程にも良い影響があり、工数の削減や納期短縮につながり、最終的にお客様のその後の組立などの作業時間低減に寄与できる場合もあります。打ち合わせの時間は他社よりも多いかもしれませんが、「急がば回れ」で全体のスピードは早くなっていると感じています。

湯川:「なぜ変更するのか」と深堀りされることもありますが、提示した刃物や削り方によって精度を保証できることを、根拠を持って示すとご理解いただけることが多いです。お客様とは開始時の打ち合わせだけではなく、加工工程に入ってからも打ち合わせを挟むことも多いですが、営業と製造技術と二人三脚で対応しています。

【「こう変えたら精度が出るのではないか」というアイディアはどこから?】

佐藤:一通り工程を組み、材料が最終的な形になる流れを逆算した上で、加工のタイミングはいつが良いか、ある程度工程を踏んだ後にこのタイミングで同時に加工できるのではないかという試行錯誤を重ねてきた経験の部分が大きいです。普段から、最終的な形をイメージしながら加工している細かな積み重ねですね。

【プログラムを作るノウハウはどこから?】

佐藤:やはり現場での経験が大きいです。今はCADから寸法を出して、NCプログラムに変えるというものが多くありますが、そこに必要な条件であったり、刃物の処理であったり、そういうものがわかるためには現場での経験が必要不可欠です。「そういうシステム(CADなど)があれば誰でもできるのでは」という話はよくありますが、あくまでも現場での経験、知識があって初めてプログラムが作れるのではと思います。

【その場合、加工技術者の勘に頼る部分が大きいのでは?】

佐藤:弊社ではそういったノウハウをデータ化して蓄積しています。「こういう刃物であればこういう条件が良い」というように情報をデータベース化していき、その情報を基に新人プログラマーでもプログラムを組むという形を最終的に目指し、今取り組んでいるところです。個々人というよりは会社の経験値としてノウハウを蓄積していく仕組み作りに注力しています。

【難易度の高い加工・素材に対して失敗もあると思いますが、会社の姿勢は?】

佐藤:会社の風土として、社長も「難しいものもどんどん挑戦しよう」という方針で、前向きにいかにリカバリーするかを一緒に考えてくれています。積極的にチャレンジしたことが評価される環境です。お客様と共に挑戦してみるという精神、多様な素材を扱おうとする好奇心が今までのベースになっています。特定の素材に対する大きな抵抗、苦手意識をあまりもたず、チャレンジとして取り組んでいます。

スーパーインバーという世間では「難削材」と呼ばれている材質も弊社では20年近く加工しているので、もはや「難削材」というイメージはなくなりましたね。チタンも15~6年前から難易度の高いものも加工してきました。このようなチタンの実績を活かして参入したのが航空機です。航空機内にはジュラルミンやインコネルなど多様な材料が含まれていることから新たなお客様とのお付き合いも増え、実績に繋がりました。

【技術と営業の連携についてはいかがですか?】

湯川:営業は工場の方針・仕事を理解して、「こういう仕事が欲しいだろう」と考えて動くべきだと考えています。

佐藤:実際に営業はそれを踏まえて仕事を取ってきてくれているように感じます。たまに無理難題もありますが、チャレンジすることで技術力向上や知識の蓄積へと繋げています。難しい案件は若手のレベルアップ、会社の全体的な力量の底上げになっていると感じているので引き続き難しい案件は取ってきてもらいたいですね。

【試作〜量産までを山陽精工に頼むメリットは何だと思いますか?】

湯川:難しい試作の立ち上げと、量産化の際の品質・納期の安定性が弊社のアピールポイントだと思います。

佐藤:特に品質について、弊社では「会社が保証」というよりは「現場の人間が保証」という考えで取り組んでいます。検査結果データや他人任せではなく「自分自身が保証に責任を持つ」、という心構えを現場で持っているため、 保証レベルも他社と比較しても引けを取らないと思います。

難しい試作案件の立ち上げから量産まで一貫で対応しますので、まずは気軽にご相談頂けたらと思います。