技術を伝承するための取り組み


    

山陽精工は加工を続けて60年。「見て・感じて覚える」匠の技と、最新技術を掛け合わせて技術を受け継いでいます。

切削加工の国家資格のひとつに、数値制御旋盤作業の技能検定があります。
最近1級に合格した社員と先輩社員のインタビューをご覧ください。

インタビューメンバー

モノづくり事業 製造部 工場長 佐藤(写真左)、 製造部 河野(写真右)

【1級を受験しようと思ったきっかけ】

2級合格自体も周りに助けられて何とか受かって、すっきりした気持ちの合格ではなかったことを覚えています。受験したのが8年前なのですが、唯一旋盤1級技能を持っていた方が定年を迎えてしまうこともあり、代わりになれたらというわけではないですが、近い気持ちで受けたことを覚えています。

 

短大生時のリベンジという感じです。短大生の時に2級を取得し、卒業研究で模擬的に1級に挑戦しましたが、合格ラインに達しませんでした。その時に、就職してから絶対に合格してやると決めていました。

 

―――入社前から固い決意があったのですね。

【受験で大変だったこと】

―――1級は合格のハードルが高い資格ですが、大変だったことは?
河野:制限時間があるため、各工程をどうやって短縮するかが大変でした。爪の交換を最小限にするために形状を考えたり、加工時間を短縮するために様々な工具やチップを試しながら、最適な加工条件を探したりしました。
―――縛りがある中で最大限のパフォーマンスをするのは、仕事に似ていますね。
佐藤:資格を取ったことで直接仕事に生かせているかは正直分かりません。ただ、資格を取るためにどれだけ練習して何を勉強するか、どれだけ夢中で取り組むかなど、合格するために取った行動が仕事や成果に繋がっていくんじゃないかと思います。現にここ2~3年で受けた人たちは受験前と受験後の仕事の理解は違うように思えます。直接仕事に繋がらないけど、教わるのではなく、自分で勉強して覚えることで成長し、個々のスキルアップが仕事へ生かせてるのではと思います。
―――仕事に対する姿勢に繋がっているということですね。

【普段心がけていること】

佐藤:自身でプログラムを作って加工時に不良を出さないことはもちろん、少しでも素早く作るよう心がけています。特に継続してご注文をいただく部品は、すべての加工が終わるまで安定して回せるよう作ることを考えています。後輩たちに教える時はまずは考えさせ、調べさせることを心がけています。最小限のヒントとアドバイスをし、最後に一緒にやるイメージです。
河野:常に改善点を探すことを心がけています。リピート部品でも、「この刃物に替えたら加工条件を上げられるのではないか」「この加工方法に変えればもっと精度が出しやすくなるのではないか」「別の部品で改善した方法をこの部品にも生かせるのではないか」等を探し、可能であれば試してみています。

【特にやりがいを感じた仕事】

河野:宇宙関係の案件全般です。難形状、高精度の部品を加工することができたことも達成感がありましたが、何よりも、自分の加工した部品が宇宙に行ったことに感動とやりがいを感じました。
佐藤:工作機械の基幹部品一式の立ち上げです。研究者・設計者と密に打ち合わせをして形状から精度を決め、みんなで立ち上げていったことが心に残っています。
―――1級の資格を持っているお二人でも困難な仕事が多いということですね。お客様の要望に対し、試行錯誤しながら一緒に課題解決に向かう姿勢はお客様からも高い評価をいただいています。

【両方の立場に立って】

―――河野さんにも、最近後輩が増えてきています。教わる側と教える側に立ってどうですか?
河野:率直に難しいなと感じています。教えていただいた技術を正しく理解したうえで覚えていくこと、それを分かりやすく確実に教えていくこと。そのためにはもっともっと知識や技術を身に着けていかなければならないと痛感しています。

【これからの目標】

河野:CAD/CAMを覚えることと、数値制御旋盤特級に挑戦することです。
佐藤:昔ながらのやり方でないとできないことも勿論あると思っていて、そういう部分を教えてもらって伝えていくこととそれを新しい方法で出来ることを考えたいです。特級技能士の資格を取ろうと頑張っている人もいるので負けていられないなって思います。